2011/02/27

オゾン層を守れ! ~最近余り話題にならなくなったオゾンホールの話を改めて

 今から約25年前、南極上空にオゾンホールが発見されました。オゾンは太陽からの有害な紫外線を遮断し、地球上の生物を守るバリアの役目を果たしています。オゾン層が減ると有害な紫外線が地表に到達しますが、特に人間を含む生物にダメージを与えるのは波長の短い紫外線B(UV-B)のことです。紫外線Bによって生物のDNAが破壊され、皮膚がんや白内障による失明、さらに免疫低下によって病気にもかかりやすくなります。「オゾン層が1%減ると、有害な紫外線は約2%増加し、DNAへのダメージは3%増える。」と言われます。それほど、オゾン層は生物が地球上で生きていくために必要不可欠なものです。
 
 フロンガスによるオゾン層の破壊を防ぐため、1987年に最初のフロン規制「オゾン層保護のためのウィーン条約」が採択されますが、その後もオゾンホールの拡大は続き、さらに規制は強化され、2020年までに特定フロン20種を全廃、指定フロンも廃止と決まりました。

 ではなぜ、フロンによってオゾンは破壊されるのでしょうか。ここでオゾンと酸素の関係について少し詳しくみてみます。オゾンも酸素も同じ酸素原子からできており、酸素原子が3つ集まったものがオゾンです。上空の酸素のごく僅かな量が、紫外線の働きでオゾンに変化しオゾン層を形成します。自然界ではこのバランスが実にうまく取れていました。しかし、人類が利用したフロンが成層圏にまで達すると、塩素原子を放出し、その塩素原子が触媒となって、オゾンを酸素分子に分解してしまいます。

 最近ではオゾン層破壊が話題になることもめっきり減ってしまいましたが、フロン規制によりオゾン層が増えたという確かなデータはまだ得られていません。地表で放出されたフロンがオゾン層に到達するのに15年以上かかるので、今世紀半ばまでオゾン層の減少は続くという説もあり、まだまだ予断を許さない状況にあります。

2011/02/20

オゾンの誕生 ~オゾンは生物の進化にも大きな影響を与えました

オゾンは人工的に合成した物質ではなく、自然界に存在する物質です。上空には「オゾン層」と呼ばれるオゾン濃度の高い層が存在していることはご存知だと思います。では、いつ地球にオゾンが誕生したのでしょうか。

今から46億年前に太陽系に地球が誕生します。それから10億年かけて海ができ、36億年前に最初の生命(単細胞生物)が誕生したのは海の中でした。そして、今から4億年前に陸上生物(シダ類、植物)が出現します。海の中に生物が誕生してから陸上生物が出現するまで、32億年という長い時間がかかったのですが、その間にオゾンは誕生しました。
原始の地球は98%が炭酸ガスで酸素は殆どありませんでした。(金星や火星がこのような状態です)32億年前に海中の生物によって光合成が始まると、酸素が大気に放出されます。そして、32億年という気の遠くなるような長い時間をかけて光合成を繰り返し、4億年前には大気中の酸素濃度が現在と同じレベルに達し、その酸素が太陽の紫外線を吸収してオゾンになり地球の表面をオゾン層となって覆ったのです。

では、オゾンはどのように生物の進化に影響を与えたのでしょうか。オゾン層は太陽からの有害な紫外線を吸収してくれます。光合成で酸素ができるにつれ少しずつオゾン層もでき、まず水中に紫外線が届かなくなると生物は爆発的に進化し、4億年前十分なオゾン層ができると、地表にも紫外線が届かなくなり、生物は陸上にあがることができました。それからさらに進化のスピードは増し300万年前に人類が誕生します。

酸素が無くても生きていける生物はありますが、太陽からの有害な紫外線にさらされて生き続ける生物はありません。そう、オゾンがなければ生物は永遠に海からでることはできなかったのです。

2011/02/11

オゾンの悲劇 ~なぜ日本はオゾン後進国か

 オゾンは今から約170年前の1840年、ドイツの化学者シェーンバインによって「オゾン」と命名されました。その後、放電によってオゾンを人工的に作り出す技術も1857年ドイツで開発され、1901年にヴィスバーデン市にある浄水場でオゾン殺菌が採用されて以降、ヨーロッパの浄水場では広くオゾンが用いられてきました。ヨーロッパではオゾンの利用は医療分野まで及んでいて、生活の中の様々分野でオゾンは利用されています。
 一方、日本のオゾン利用の歴史は高々40年でオゾン後進国と言われます。戦後アメリカ主導で塩素が導入されてこともあってか、浄水場の殺菌を初めて多くの場所では塩素殺菌が使われたことが普及の妨げになったのも理由の一つですが、実はもう一つ理由があると考えています。
 日本では特に20年程前からオゾンへの注目が民間でも高まってきました。微量のオゾン発生器であれば比較的簡単作れることが災いとなり、オゾンを万能薬であるかのように宣伝し、顧客に専門家がいないのをよいことにオゾンを盲信させる「オゾン教の商人」たちが現れました。しかも彼らは、装置を売りつけた後は、一切アフターケアをしなかったため、故障したままで放置される装置が続出、その結果、民間にオゾンに対する不信感が広がり、オゾンの名誉は著しく傷つけられてしまいました。まさに「オゾンの悲劇」です。
 そんなオゾン教の商人は今は殆ど姿を消しましたが、まだ国内にはオゾンの誤った知識が蔓延しています。私は未だに誤った信仰が原因で迷妄する多くの方を、科学の世界に引き戻したいと考えています。