2011/04/25

オゾンで水を美味しく ~「臭くてまずい」と言われた水道水がペットボトルで売られるほどになりました。

最近、大阪市などが水道水をペットボトルに入れて販売しています。一昔前、都市部の水道といえば「臭くてマズイ」ものだったのが、ペットボトルに入った商品になっているというと意外に思う方もおられると思います。なぜそうなったのでしょう?一つにはかつての「空気と水はタダ」という考え方が変わりお金を出して水を買うことが普通になったことが挙げられますが、大きいのは水道水が美味しくなったことです。そしてその秘密がオゾンなのです。

日本は戦後、進駐してきた米軍の指示で水道水を塩素で殺菌してきました。しかし、都市の発展を共に河川が汚染され塩素の注入量が増え続け、1990年頃には30年前と比較して東京都では7~8倍もの塩素を注入するようになっていました。それが水道水の「塩素臭さ」に繋がります。そして同時に、工場や家庭からの排水で湖沼が富栄養化してアオコが発生、水道水が「カビ臭い」という問題を起こします。

さらに問題となって来たのがトリハロメタンという発がん性物質です。トリハロメタンは水中の有機物と塩素は反応してできる有機塩素化合物です。河川、湖沼が汚染されて有機物が増える、それを殺菌するために塩素の注入量を増やす、するとトリハロメタンができてしまいます。まさに負のスパイラルです。 

そこで導入されたのが水道のオゾン処理で、日本では73年に兵庫県尼崎市の神崎浄水場が最初です。日本ではほんの40年程の歴史しかありませんが、ヨーロッパでは100年以上前から浄水場にはオゾンが導入されています。
 オゾンはカビ臭の除去、トリハロメタンの元になる有機物の分解、農薬などの除去、さらに水の透明度を上げる効果もあります。日本の場合、水道水には塩素を注入することが法律で義務付けられていますので、塩素を廃止する訳には行きませんが、オゾンを導入したことで塩素注入量も3~4分の1以下に減らすことができ、「塩素臭さ」も大幅に解消されます。
水道水がペットボトルで売られるようになったのも、オゾンのお陰なのです。 

ちなみに、最初にオゾン処理を導入しようとした時、市議や近隣の水道事業団から批判を受けることもあったそうです。(変化を好まない、いかにも役所的な考えですが)もし、そのような反対に押されて神崎浄水場へのオゾン導入を取りやめていたら、水道のオゾン処理は大幅に遅れ、「臭くてマズい水」を飲まされ続けていたかも知れません。

2011/04/18

オゾンによる殺菌 ~薬剤が「薬殺」なら、オゾンは「刺殺」?

 オゾンは殆どの菌やウイルスを短時間のうちに不活性化することができます。オゾンで殺菌を行う場合、オゾンをガスの状態で使用するか、水に溶解したオゾン水として使用する方法がありますが、いずれも高い殺菌効果を得ることができます。
 気体で行う殺菌剤としては、塩素、二酸化塩素、エチレンオキサイドなどがあり、いずれも殺菌力の強さは酸化力の強さに依存します。なかでもオゾンは、塩素の数倍、フッ素に次ぐ酸化力があるので、非常に高い殺菌力を持ちます。
 
 特に他の薬剤には無く、オゾンだけが持つ優位性は、
 1)短時間で酸素に戻る
  →活性炭などで簡単に分解することができます
 2)残留性が無い
  →余剰分が全く無害な酸素に変わるため、環境を汚しません
 3)耐性菌ができない
  →塩素を含む薬剤は耐性菌が見つかっていますが、
   オゾンには耐性菌がありません

 何故オゾンは耐性菌ができないのでしょうか。オゾンの殺菌機構は細菌の細胞壁や膜の酸化分解、あるいはウイルスのタンパク質や核酸との反応です。いずれも菌やウイルスの組織を分子レベルで攻撃する物理作用であるため、菌やウイルスの構造に関係無く作用します。一方薬剤に対して菌やウイルスは形を変えたり、薬剤を分解する酵素を作り出すことで耐性を獲得します。(「オゾンは刺殺、薬剤は薬殺」はそれぞれの殺菌機構の違いを例えた表現です。)
 1929年に最初の抗生物質であるペニシリンが発見されて以降、様々な抗生物質が開発されて来ましたが、いずれも耐性菌に対応するためで、抗生物質の歴史は耐性菌とのイタチごっこの繰り返しでした。今後、オゾンの利用が広まれば耐性菌の出現も減るかも知れません。

2011/04/03

オゾンに発がん性はあるか? ~そもそもあり得ない条件での動物実験の結果を心配する必要があるのか

 「オゾンには発がん性がある」そう言われることがあります。しかし実際にはどうなのでしょう。
 確かにそのように唱える学者もおり、過去米国で行われた動物実験で動物のガン発症率が増加したという結果もあります。しかし、この動物実験では雌のマウスはそのような結果が出たものの、雄のマウスではそうでなかったり、マウスでなくラットでは発がん性に変化がなかったりで、はっきりしていません。
 結局、現状ではこの動物実験のデータは、ヒトの発がん性を評価するのには用いられないと結論付けられています。現実、その動物実験が行われた米国の「米国産業衛生専門家会議(ACGIH)」ではオゾンの発がん性は「A4:発がん性物質として分類できない物質」と区分されています。これには「A3:動物実験で発がん性が認められた物質」という区分があるにも関わらず、オゾンはA3ではなくA4ですので、「オゾンには発がん性が認められるデータは無い」というのが正しいようです。

 しかも、この動物実験では1.0ppmという高濃度のオゾンを2年以上に渡って暴露しています。このような濃度は、オゾン発生器を使う上で絶対に人が接することのない濃度であり、オゾン利用の安全性を何ら不安がる必要はありません。そもそも、人類を含む全ての陸上生物は、4億年に渡って大気中のオゾンに触れながら進化してきました。そのため、オゾンに対する防御能力が備わっていると言っても過言ではありません。