2012/07/23

院内感染は何故起きる ~入院したら自分の身は自分で守らないといけないのでしょうか?

 院内感染は米国などの定義によれば「入院後2日目以降に本来の疾患とは別に起きた感染」を言います。この他に、血液に汚染した注射針を誤った刺したことによる感染、病院給食による食中毒も院内感染とされています。近年、院内感染が話題になることが多く、増加しているように思えるかも知れませんが、実際には院内での消毒が不十分であった数十年以上昔の方がずっと多かったとも言われます。ではなぜ、院内感染が近年話題になるかと言うと、次々に新しい耐性菌が出現することが理由の一つではないかと考えられます。医学の進歩に伴い、新しい抗生物質、消毒薬などの開発で感染症の多くが克服されていますが、院内感染の頻度は期待したほど減少していません。
 耐性菌は抗生物質を不適切に用いすぎたことで出現していると言われますが、では抗生物質の不適切な使用を控え、耐性菌の出現を抑えれば院内感染が減るのかというとそうとも言えません。耐性菌の一つであるMRSAは医療従事者の手を介した「接触感染」によって日本で広まったとされており、院内の消毒が不十分であったことを問題視する声もあります。

 入院生活をされた方は理解できると思いますが、入院すると生活水準がいきなり昭和20年代に戻ります。相部屋で周りに気を遣いながら生活し、何よりこれまで毎日風呂に入っていた人が何日も入れなくなります。MRSAは垢だらけの湿った皮膚で繁殖しますので、院内はMRSAが大好きな環境が沢山存在します。また、病院内を清掃する清掃業者の多くは床やトイレを掃除した時と、同じビニール手袋をしたままドアの取っ手や手すりに触れます。これでは感染の原因となる菌が院内のどこにあっても不思議ではありません。
 さて、そんな院内の消毒のレベルアップにもオゾンは多くの病院や福祉施設で利用されています。オゾンをガスで病室やトイレに発生させておけば、清拭など作業をせずとも、取っ手や手すりに付着した菌を除菌することも可能です。 
 「入院したら自分の身は自分で守る」くらいの気構えで、入院中身の回りの消毒は自分で行い、医師や看護婦には目の前で手指の消毒をしてもらった方がいいという意見もあるようですが、病院でのオゾン利用がひろまればそんな努力をする必要も減ってくるのではないでしょうか。

2012/06/26

オゾンによるノロウイルス対策 ~効果と手軽さで考えるとオゾンがとても有効です

 施設などノロウイルスの感染拡大が起こりやすい要因として、以下のようなことが挙げられます。

1)人の手を介して汚染が拡がり、人が集まる場所でトイレなどのドアノブ、蛇口などに大量のウイルスが付着している 
2)消毒用アルコールや逆性石鹸は有効ではない 
3)空中に漂い続け空気感染することもある 
4)乾燥に強く長時間感染力を維持する

このようなことから一度、施設がノロウイルスに汚染されると、一気に感染が拡大してしまいますので、感染を防ぐにはまず施設内にウイルスを持ち込ませないことが最も重要なことと言えます。
 と同時にウイルスが施設内に持ち込まれても感染を拡げないために、常に施設内を消毒しておくことが大切です。
 この時、有効な対策の一つとして挙げられるのがオゾンです。
 オゾンは、

①アルコールや逆性石鹸と違い、オゾンはノロウイルスに対して高い効果があります。
②施設内をオゾンガスで燻蒸することで、ウイルスが付着しやすいドアノブ、蛇口などの除菌が可能です。 
③空気中に漂うウイルスもオゾンガスで対策できます。

具体的には、夜間空間のオゾン濃度を0.3~0.5ppm程度になるようなオゾンガスの発生装置を、タイマーで4~5時間程度動作させれば、空間内のどこかにノロウイルスが居ても除菌することができます。

 実際に施設内で感染が拡がってしまった場合は、人が手を触れる部分の徹底的な清拭等の作業が必要ですが、感染を未然に防ぐため、常にオゾンで施設内を除菌することがとても手軽でかつ有効な手段と言えます。

2012/05/21

高齢者福祉施設でのノロウイルス感染の特徴 ~感染が発生すると、直ちに施設全体が汚染されてしまいます

 高齢者福祉施設の入所者は抵抗力が弱いため発症しやすく、また重症化しやすい傾向にあります。これらの施設ではウイルスの進入経路は限定され、施設の外から持ち込まれたことが感染の原因です。そのため、高齢者福祉施設では施設内にウイルスを持ち込ませないことに重点を置いて対策する必要があります。施設の入口に手洗い場を設置し、専用のスリッパに履き替えてもらうことが大切です。ちなみに、高齢者施設に限らず、入口にアルコールスプレーを置いてある施設が多数ありますが、ノロウイルスに対してはアルコールでは効果がありません。
また、トイレ、トイレの蓋、ドアノブ、手すりなど多くの人が触れるものはこまめに消毒することが大切です。ノロウイルスの集団発生後に施設内の拭き取り検査を行った所、トイレの便座、手すり、ドアノブで100~1万個のウイルスが検出されました。一般の細菌と異なり、ノロウイルスは乾燥に強いため、付着したウイルスは長期間生き続けます。そのため、一旦施設内で患者が発生すると、すぐに施設全体がノロウイルスで汚染されてしまいます。人の手が触れる場所を直ちに消毒することが感染拡大防止のポイントです。

 さらに、ノロウイルスが厄介なのは空気感染もすることです。糞便、吐物が床等に付着すると、湿度の低い冬場、乾燥してウイルスが空中に漂い出してしまいます。一旦空中に漂うと、ウイルスは微小なので容易に落下せず、また窓を閉めきったままだと3週間程度は感染力を維持するとされています。ノロウイルス感染患者の糞便、吐物の処理が遅れた場合は、空気感染を防ぐため、十分な換気をすると共に、施設内全体を消毒する必要があります。施設内全体の消毒となると相当大掛かりですが、オゾンガスであれば空気の届く所であれば隅々まで殺菌効果がありますので、施設全体の消毒にも利用可能です。

2012/04/12

ノロウイルスの抵抗性 ~アルコールスプレーではノロウイルスを殺すことはできません

 ノロウイルスは物理化学的抵抗性が非常に強く、そのため感染症や食中毒が広まりやすくなっています。
 まず、ノロウイルスは酸に強く、pH3の溶液に3時間漬けても殺すことはできません。人の胃は空の状態ではpH2ですが、食事をすると胃酸が薄まりpH3以上になるため、胃液ではノロウイルスを殺せません。また、手指消毒などにスプレーなどでよく使われるアルコール。70%のアルコールにも強く、噴霧したり拭く程度では効果が少なく、最低でも5分間以上は湿らす必要があるので、スプレーを手に噴霧するくらいでは、手に付いたノロウイルスは殺せません。さらに、塩素にも強く3~6ppmの濃度では効果がありません。

 では、オゾンの場合はどうでしょう。ノロウイルスや、類似のネコカリシウイルスを使った実験では、1ppmのオゾン水によって水中のノロウイルスを短時間で殺すことができます。また、オゾンガスについても、0.1ppmという低濃度で12時間あればノロウイルスの失活が可能です。ちなみに、院内感染の原因にもなるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)だと0.1ppmのオゾンガス4~5時間で殺すことができます。ノロウイルスはその2~3倍の時間がかかることになりますが、オゾンガス濃度を上げればその分時間は短くても同じ効果を得ることができます。オゾン水、オゾンガスのいずれにしても低濃度のオゾンで十分に効果があるため、業務用のオゾン発生装置で手軽にノロウイルスの対策が可能です。

 前号で、ドアノブ、蛇口がノロウイルス感染拡大の原因になると書きましたが、人がよく手を触れるだけでなく、ノロウイルスに抵抗性が高いために、簡単な拭き掃除やアルコールスプレー程度はウイルスが残ってしまうことが、その要因と言えます。

2012/03/16

ノロウイルス感染 ~胃をひっくり返すような嘔吐が突然起きるのが特徴です

 ノロウイルスは口に入った後、12~72時間で発症します。つまり、潜伏期間は半日から3日です。O-157などの腸管出血性大腸菌の潜伏期間が4~7日くらいといわれますので、ノロウイルスの場合は比較的、口に入ると早く発症します。症状は小腸に炎症を起こすことから腹痛や下痢、そして胃の運動神経の麻痺による嘔吐です。特にノロウイルスの場合は胃をひっくり返すような嘔吐が突然、強烈に起きるのが特徴です。一般的に嘔吐は子供や高齢者、下痢は成人と高齢者で起こりやすいとされています。乳幼児、高齢者などの抵抗力が弱い人が感染すると脱水症状になりやすいので、水分補給はしっかり行う必要があります。
 
 では、ノロウイルスはどのような経路で感染が拡がるのでしょうか。最も経路として多いと考えられるのが、人の手を介した感染です。このブログでも「汚れの運び屋はヒト」であることをお話ししましたが、吐物を処理した後、或いは下痢症患者がトイレに行った後は大量のウイルスが手指に付着している可能性があります。吐物を処理した後やトイレの後の手洗いはもちろん、直接ノロウイルス患者と接触をしていない人も、ノロウイルス感染が増える時期に、人が集まる場所でトイレなどのドアノブ、蛇口などを触った後はしっかり手洗いをしましょう。また、食品製造者や取扱者は特に注意が必要です。食品を触る時には手洗いをしっかりし、使い捨ての手袋を使いましょう。
 一方、カキなどの2枚貝はノロウイルスを持っていますが、内部を85℃、1分以上加熱すればウイルスは死滅しますので、注意して調理すれば十分感染を防ぐことが可能です。ノロウイルスは乾燥や酸にも強いので調理後の食品にウイルスが付着すると、それが人の口に入るまで生き続けます。ノロウイルスの場合は、調理方法よりもむしろ、調理後の食品の取扱に注意が必要です。

 前号で「ノロウイルスは文明社会に適応したウイルス」と言いました。現代人は、普段の生活の中で沢山の人と接触したり、同じ場所で大量に調理された食品を食べる機会が多いため、それだけノロウイルス感染が拡大し易い環境で生活しています。文明社会はウイルス感染が拡大しやすい環境であることから、「ノロウイルスは文明社会に適応したウイルス」と言われます。

2012/02/29

ノロウイルスの特徴 ~ノロウイルスは文明社会に適応したウイルスと言われるのは何故でしょう?

 ノロウイルスによる食中毒が近年急増しています。ノロウイルスは大腸菌やサルモネラなどの他の細菌性食中毒と異なり、11月から3月までの冬期に多発します。これは、ノロウイルスが自然界の中で抵抗性が強く、寒い冬の時期に好んで感染を拡げるからです。
 ノロウイルス(norovirus)の名前は、このウイルスが1968年に最初に発見された米国オハイオ州ノーウォーク(Norwalk)の地名にちなんでいます。ノロウイルスは生物ですが、細菌ではありません。ウイルスの基本構造は、遺伝子としてRNAまたはDNAを持ち、その遺伝子が蛋白の殻(カプシド蛋白)に取り囲まれた粒子となっています。ウイルスの種類によってはさらに殻の外側を覆うエンベロープ(外被)があります。非常に小さく、光学式の顕微鏡では見ることができません。
 ウイルスが細菌と最も異なるのは、自分だけで増殖することができないことです。ウイルスは代謝をしないので、遺伝子及び蛋白を自分で作ることはできません。ウイルスが増殖するには、他の細胞の中へ入って、その細胞の代謝系を利用して自分のコピーを作ります。一方、細胞の外にいる状態ではウイルスは自ら動くことができず、単なる巨大分子です。

 他のウイルスや細菌と比較して、ノロウイルスの特徴として挙げられるのは、 

1)とくかく丈夫である 
 乾燥や酸にも強く、水中でも長時間丈夫です。一般に手指消毒に使われる消毒用アルコールや逆性石鹸はノロウイルスには有効ではありません。 

2)感染すると嘔吐を起こす
 ノロウイルスに感染すると下痢に合わせて嘔吐を起こします。吐物には大量のノロウイルスが含まれ、乾燥すると埃になって舞い上がり遠くまで運ばれます。

3)何回も感染する
 ノロウイルスには多数の遺伝子型があるため、同じ人が複数の違った型のウイルスに感染します。 

4)食品中では増殖しない
 食中毒の原因となる細菌は食品中で増殖しますが、ノロウイルスの場合は食品中では増えません。そのため、ノロウイルスの食中毒では食品の保管ではなく、製造過程での汚染が問題になります。

 次号では、ノロウイルスによる食中毒について、もう少し詳しくお話ししたいと思います。

2012/01/23

薬事法という壁 ~オゾンは感染防止に効果があるのに、何故それを知らない人が多いのか

 日本には「薬事法」という法律があり、病気の予防や治療目的で物品を販売するためには厚生労働省の認可を得なければなりません。薬や医療器具を日本で販売する場合、薬事法の認可が必要で、その認可には膨大なデータと時間が必要です。そのため、海外で実績のある薬剤でも日本で認可されるのに時間がかかってしまうケースが多く、有名な例としては「最強の抗生物質」と言われたバンコマイシンが日本で認可される前に、先にその耐性菌が確認された話しがあります。つまり、日本ではバンコマイシンが使用され始める時には、既に「最強」では無くなっていたのです。
 
 オゾンに関して言えば、低濃度のオゾンを常時室内に発生させて使うタイプの製品でもインフルエンザなどの感染を防止することができます。実際の施設でオゾン機器を設置しているフロアーでは感染が無かったのに、オゾンの無いフロアーでは感染が広まったという例も数えきれない程報告されており、オゾンが感染予防に効果があることは疑いようもありません。しかし、薬事法の認可を得るためには、実例だけは不十分で、医学者によって検証されたデータが必要になり、それには膨大な時間と費用がかかります。だから、オゾンは効果があるにも関わらず、薬事法の認可がないため、インフルエンザ感染予防として販売することができません。

 薬事法の認可に時間が掛り過ぎることが問題視されているにも関わらずなかなか改善されません。既にあるものの既得権益を守るため、新規参入を抑えているのではないかという穿った見方をする人もいます。薬事法があるお陰で、効果が立証されていない曖昧なものを販売することができず、消費者も安心して医薬品や医療器具を購入することができることは事実ですが、薬事法のせいで、オゾンのように感染予防として販売することができず、国民がその効果を享受できないのはむしろ不利益と言え、早く改善されることを望んでやみません。