2011/05/16

危険な腸管出血性大腸菌 ~多くの大腸菌は哺乳動物が生きるために必要な菌です

北陸や神奈川県内で店舗展開する焼肉チェーンで腸管出血性大腸菌を原因とする食中毒が発生し、数名が亡くなられてしまいました。同店舗チェーンで提供した生肉が原因とされています。

腸管出血性大腸菌というと1996年から1997年にかけて全国で流行し13名もの死者を出したO-157、そして今回の主な原因とされるO-111とも、ベロ毒素を産生し子供や老人が感染した場合は、重篤になりやすい食中毒の原因菌です。牛などの哺乳動物は大腸内に大腸菌を保有しており、ブドウ糖や乳糖、ときにはショ糖を分解して酸とガスを作り出します。ビタミンの生産にも関わっていると言われます。大多数の大腸菌は害を及ぼすことはないのですが、人間の体に致命的なダメージを与える病原性の大腸菌も少数ながら存在しています。
 今回の事故をきっかけに多くの焼肉店が生肉の提供を見合わせています。なぜ生肉は危ないかと言うと一つは熱を通していないためです。ではステーキなどレアで食べるのも食中毒の危険を高めるかというとそうとは言えません。前述の通り、大腸菌は牛などの大腸に存在している菌で、それ以外の部位の肉に存在している訳ではありません。食肉が大腸菌に汚染されるのは加工段階において大腸内の菌が広まったためで、調理器具や人の手を介して汚染されるとされています。そのため、大腸菌が付着していたとしてもそれは肉の表面であり、表面に火を通すことで多少の菌は死滅してしまいます。
 しかし、注意が必要なのはハンバーグなどの原料となるミンチ肉です。加工段階で大腸菌が付着しているとミンチされる際にその菌が広まり、ミンチ肉全体が汚染されることになります。同様に圧縮肉などの加工肉については内部までしっかり熱を通す必要があります。
 人に感染すると重篤な打撃を与える腸管出血性大腸菌ですが、熱に弱く75℃、1分以上で死滅します。また、オゾンでも容易に殺菌することが可能です。食肉の汚染は、主に加工段階における調理器具や人の手によるものですので、それらを細目に殺菌し菌を広めないことが食中毒防止には重要です。